"毎週木曜、つながらない番号へ" 第8話
美代子が尋ねると、志津は首を振った。
「隣県だったことしか覚えてない。でも病院というじじゃなかったのよ。相がた、男のが『先を呼んでくれ』って言ってた」
話局では距通話の料計算のため、方面別の記録も残されていた。美代子が集計帳を確認すると、該当する30円の通話は隣県部の「川局」方面へかけられた能性がいことが分かった。
川は楢沢町からで2くれた原域だった。
修が話帳を調べると、その域には「楊療養所」というさな私療養施設があった。結核患者の療養がだったが、交通事故や労災で期の護を必とするも受け入れているという。院は元軍医で、町の病院より設備がっているとの記載もあった。
「まさか」
修は話帳を見つめた。
「千鶴がここにいるっていうんですか」
まだ何の証拠もない。
しかし312午920分、事務所から川方面へ急ぎの話がかけられた。その直には千鶴の話が途で切れ、9半には寄宿舎裏に会社のトラックがまっていたという証言がある。
警察も楊療養所へ照会を始めた。
ところが療養所からの回答は、「森田千鶴という患者を受け入れた記録はない」というものだった。
修は肩を落とした。
だが数、警察が取り寄せた昭343の入院台帳を調べた刑事が、の女の記録に目を留めた。
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313午110分入院。
推定齢18歳。
部傷。
そして氏名欄には、こうかれていた。
「森 千代」
楊療養所は杉林に囲まれたのにあった。古い造棟と比較しいコンクリート棟が並び、町かられているため周囲には民もほとんどなかった。警察の照会を受けた院は、初めて「森千代」という患者について詳しく説した。
女は313の夜、亜繊維の関係者を名乗る男によって運び込まれていた。階段から転落してをく打った従業員で、族はなく、元引受もいないと説されたという。入院費は亜繊維とは別名義の「邦理事務所」から毎送されていた。
女は数識を失っていた。
その目を覚ましたものの、記憶に混乱があり、言葉もうまくせなかった。自分の名を聞かれても答えられなかったため、持参された類にかれていた「森千代」という名で登録された。
「どうして警察に届けなかったんですか」
刑事が尋ねると、院は沈痛な顔で答えた。
「会社から正式な元保証がありました。親族はいない、事故についても会社側で処理すると言われたんです。当はそれ以疑いませんでした」
半が過ぎても、女の状態は分には回復していなかった。
言葉はしずつ話せるようになっていたが、過について尋ねると混乱し、い痛を訴えた。
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療養所側は会社へ何度も族を探すよう求めたが、「寄りがない」という回答しか返ってこなかったという。
澄と修は、警察とともに楊療養所へ向かった。
美代子は族ではないため同しなかった。そのもいつも通り話局の交換台に座っていたが、仕事へ集することができず、川方面のランプを見るたびに胸が締めつけられた。
午4すぎ、話局に距接続の申込みが入った。
川局から楢沢町への話だった。
相番号は話局ではなく、森田が連絡先として借りていた桐の雑貨だった。美代子は偶然その回線を担当することになり、を震わせながらコードをつないだ。
数分、志津が休憩へ美代子を呼んだ。
「見つかったって」
その言葉だけで、美代子は何をしているのか分かった。
森千代として療養所にいた女は、森田千鶴だった。
澄が病へ入った、千鶴は窓際の子に座っていたという。髪は肩のまでく切られ、以よりかなり痩せていたが、眉のにあるさな傷との薬指の曲がり方を母親は目で見分けた。
しかし千鶴自は、すぐには母親をいせなかった。
「千鶴」
澄が名を呼んでも、女は怯えたように壁際へがった。
修が幼いころの話をしても反応はかった。
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