"毎週木曜、つながらない番号へ" 第9話
半、自分を「千代」と呼ぶ々ので暮らし、過の記憶は断片なままだった。
澄は泣かなかった。
ただベッドの横に座り、で千鶴が好きだった子守をさくずさんだ。
すると、千鶴の表が変わった。
い考えるように母親を見つめた、唇が震えた。
「……お母ちゃん」
澄はそので初めて泣いた。
半、曜の夜ごとに呼び続けた娘の声が、ようやく返ってきた。
だが事件は、それで終わらなかった。
千鶴が見つかったという連絡が楢沢町へ届いた翌朝、片岡繁雄が自宅から姿を消した。
片岡は2、県境くの旅館で見つかった。逃するつもりはなかったと主張したが、所持品のには閉鎖の帳簿の部と、額の現が入っていた。警察は積の流用だけでなく、千鶴が負傷した夜について本格な追及を始めた。
方、楊療養所では千鶴の記憶がしずつ戻り始めていた。医師は無理にいさせないよう族へ注していたが、母親と兄がそばにいることで、やについてにすることが増えていった。特に話に関する記憶だけは、議なほどく戻った。
「」
ある、千鶴はにその数字をいた。
修が「寄宿舎の話か」と尋ねると、千鶴は頷いた。続いて「曜」「8・40」とき、そのに「帳面」と記した。
千鶴が見つけたのは、女子員たちの積の実際の残を記した経理台帳だった。
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退職者が増え始めた昭33から、会社は資繰りのため積へをつけていた。さらに閉鎖が決まると、を隠すために部の女子員を実際よりく退職したことにし、支払ったはずの額を帳簿で処理する方法が使われた。
千鶴も、その対象になっていた。
彼女が数字のい違いを経理へ問いわせたため、片岡は千鶴を311付の退職者として処理した。本が翌もにいることなど、数には閉鎖されるのだから問題にならないと考えていたらしい。
しかし千鶴は気づいた。
312の夜、当番で寄宿舎に残っていた千鶴は、から持ちした帳簿の数字をへ写していた。翌に休暇を取り、実へ戻って父や兄に相談するつもりだったという。
毎週曜の午840分は、千鶴がへ話できるだった。
そのも番から母親へ話をかけた。
「お母ちゃん、私、辞めたことにされてる」
千鶴がそこまで話した、談話へ片岡が入ってきた。
片岡は帳簿がなくなっていることに気づき、寄宿舎まで千鶴を探しに来ていた。話をしている千鶴を見つけると、受話器を奪おうとした。
千鶴は逃げた。
談話の入で揉みいになり、千鶴は廊の段差につまずいた。を柱の角にく打ち、そので識を失った。
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片岡は当初、救急を呼ぼうとした。
だが千鶴が持っていたには、流用した額と座番号が写されていた。事故がるみにれば、千鶴が帳簿を調べていた理由も警察にられると考えた。
そこでと相談し、町の病院ではなく、以取引先の関係者が利用したことのある楊療養所へ運ぶことにした。
午920分、事務所から「医者につないでくれ」と話をした。
午9半、会社のトラックを寄宿舎裏へ回した。
そして夜、識のない千鶴を隣県へ運んだ。
族には「自分で辞めててった」と説した。
療養所には「寄りのない従業員」だと告げた。
さらに翌、寄宿舎の番につながる内配線を切断した。
片岡は警察の取り調べで、千鶴を殺すつもりはなかったと繰り返した。それは事実だったのかもしれないが、事故のにったことまで偶然とは呼べなかった。
千鶴がきていることをりながら、族には半らせなかった。
事件がらかになるにつれ、片岡だけで半の隠蔽ができたわけではないことも分かってきた。は千鶴を楊療養所へ送ることを承認し、寮母は夜勤表から千鶴の名を消した。さらに会社側は退職願と受領を作成し、療養所への支払いを別名義で続けていた。
話局も事聴取を受けた。
313の朝、亜繊維の総務課から「昨夜の通話について部から問いわせがあっても答えないでほしい」
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