"毎週木曜、つながらない番号へ" 第10話
と頼まれていたことを認めた。通信の秘密を守るためという説を受け、志津へも余計なことを話さないよう注したという。
しかし接続票がなくなった理由についてはらないと主張した。
数、その答えも崩れた。
話局の古い廃棄箱を理していた職員が、帳簿のに挟まった枚のを見つけた。半分に折られ、別の類のへ押し込まれていたが、そこには昭34312午918分、亜繊維事務所から川局へ距話をつないだ記録が残っていた。
担当者は田島志津。
相先は楊療養所。
その枚によって、片岡たちの説は完全に崩れた。
関係者は当初、療養所へ千鶴を運んだのは翌朝であり、その点ではまだ元が分からなかったと説していた。しかし午918分に療養所へ連絡している以、事故直から彼らが女を方へ運ぶ準備をしていたことになる。
夜勤表。
番からの通話。
寄宿舎に残されたお守り。
切断された配線。
積の帳簿。
楊療養所への接続票。
つつはさな痕跡だった。
けれど、それらが同じ夜の刻に沿って並んだ、半隠されていた来事はほとんどかしようのない形になった。
志津は警察で、最の通話について正式に証言した。
「半も黙っていて申し訳ありません」
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澄に会った、志津はくをげた。
「私がもっとく言っていれば、千鶴さんをく見つけられたかもしれません」
澄はしばらく志津を見つめていた。
「私だって、もっとく警察に言えばよかったって何百回もいました」
それから静かに首を振った。
「でも、あの子を見つけたのは、皆さんが残してくれた記録です」
志津は涙をこらえるように唇を結んだ。
美代子はそのを見ながら、交換という仕事について初めて別のことを考えていた。回線をつなぐ仕事は、会話が終わればそれですべて消えてしまうものだとっていた。
けれど本当は、とがつながったという事実だけでも、には誰かのを守る記録になる。
事件、女子員たちの積問題も調査され、くの元従業員へ未払い分が返されることになった。町では亜繊維の名をにするだけで顔を曇らせる者もいたが、方で「がなくなると困るから」という理由で何も言わなかったたちへの批判も広がった。
美代子自も、自分が正しかったのか何度も考えた。
交換が利用者の事へ入りすべきではない。
その原則は今でも変わらない。
けれど、規則を守ることと、目のにある矛盾を見なかったことにするのは、同じではなかった。
が来るころ、楊療養所かららせが届いた。
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千鶴が、話をかけたいと言っているという。
希望したは曜だった。
は、午840分。
1217の曜、楢沢町には朝からがっていた。根や線脇にはくが積もり、午になるとの稜線までく霞んだ。話局ではいつもと変わらず交換台のランプが点いたり消えたりしていたが、美代子だけは朝から計を気にしていた。
千鶴はまだ楊療養所にいた。
歩くことはできるようになったものの、痛と記憶の混乱が残っており、までは療養を続ける予定だった。澄は度桐へ戻り、の仕事をしながら週に度療養所へ通う活を始めていた。
そのは千鶴から母親へ話をすることになっていた。
午838分、川局から距話の申込みが入った。
美代子は受話器を取り、相番号を確認した。桐の雑貨の話番号だった。
楊療養所からだった。
美代子はゆっくりコードを差し込み、桐側を呼びした。
数回の呼音の、の主がた。森田澄が隣で待っていることを確認すると、美代子は川局へ図を送り、つの回線をつないだ。
交換台の計は840分を指した。
半以まで、番から同じへ話がかかっていただった。
美代子は回線が正常につながったことを確認し、受話器からをそうとした。
その直、ほんの瞬だけ、千鶴の声が聞こえた。
「お母ちゃん」
そのの会話を、美代子は聞かなかった。
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