"焼け残った家を壊せと言われた" 第6話
誰が維持するのか。
は全なのか。
事に支障はないのか。
そして。
私だった井戸を。
今誰のものとして扱うのか。
つの古い井戸を残すために。
っていた以に。
くの答えが必だった。
清吉は町内会の席で、初めて自分から区画理への条件を話した。「を造ることにはもう反対しない。ただ、井戸を残せる方法があるなら力を貸してほしい」とをげた。以まで説会で鳴っていた男が態度を変えたため、町内の々は驚いたが、誰も笑わなかった。
最初にを挙げたのは田だった。「俺は名をくよ」と言い、続いて空襲にをもらったという老婆、も賛同した。そこから話が広がり、数のうちに「共同井戸として残してほしい」という嘆願へ40以の名が集まった。
ハルの帳面も役にった。
誰がを使ったか。
何族だったか。
怪や赤子がいた。
すべてが。
簡単な記録ながら。
残されていた。
名を見た町の々が、「このなら今は向こうの町にいる」「このは親戚のところへ移った」と連絡をつないでくれた。戦争で散り散りになったからが届き、「あの井戸には助けられました。残るなら嬉しいです」とかれていることもあった。
信は、そこで父が守ろうとしていたものを初めて実した。
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井戸そのものではない。
井戸へ。
集まったたちの。
記憶が。
まだ町のに。
きている。
方で、役所側の判断は慎だった。脇へ残すなら転落防止の囲いが必で、を用として使わせるなら面も確認しなければならない。管理するがいなくなったの扱いも決める必がある。
「いっそ埋めて、碑だけ置く方法もあります」
担当者からそう提案された、清吉はすぐに首を横に振った。
「だけ残してもはない」
「ですが、記憶を残すというなら」
「俺が残したいのは記品じゃない」
清吉は言った。
「また何かあった、を汲める井戸だ」
杉原はその言葉を聞き、し考えた。
戦の町はまだも定しておらず、断も珍しくない。共同井戸を非常用として残すがまったくないとは言い切れなかった。
そこで役所の技術担当が現を調べることになった。
井戸のさ。
量。
との位置。
排管との距。
組みの状態。
つずつ。
確認がんだ。
調査の、清吉は朝から落ち着かなかった。へ客が来ても何度も裏庭を覗き、技術者が井戸へ測定器具をろす様子をじっと見守っていた。
信はそんな父を見て、し笑った。
「父さん、豆腐焦がすぞ」
「おが見とけ」
「俺だって仕事してるよ」
以ならそこで論になったが、今はとも苦笑する余裕があった。
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数、杉原がへ来た。
「井戸自体は使えます」
その言葉に、清吉の顔がるくなった。
だが杉原は続けた。
「ただし、今の所のままでは難しい。事の際に組みの部を造り直して、歩側へ囲いをす必があります。費用と管理の問題を解決できれば、残せる能性はあります」
信はすぐに「やりましょう」と言いかけた。
しかし清吉は違った。
「費用はいくらだ」
その問いで、信は父がただでいているのではないと気づいた。
しいを建てるも必だ。
活もある。
井戸だけに。
全財産を使うわけには。
いかない。
過を残すためには。
これからを。
捨ててはいけない。
清吉自が。
ようやく。
そこまで考え始めていた。
移転が正式に決まったのは、梅がけるしだった。相沢には駅くの区画が換先として割り当てられ、建物移転に伴う補償も示された。決して分に余裕のある額ではなかったが、信が考えていたしいを造るための目処はった。
井戸については、町内会が管理を引き受けることで話がんだ。脇にさな共を設け、組みの部を補し、簡単な囲いを作る。用についてはその々の状態を確認する必があるが、なくとも井戸そのものは埋めずに残す方針となった。
決定を伝えられた夜、清吉は湯みを持ったままく黙っていた。
「父さん、残るって」
信がもう度言うと、清吉は「聞こえてる」
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