みかん小説
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"焼け残った家を壊せと言われた" 第8話

が。

なのだろう。

そんなの初め、京で数の断があった。相沢しいにはきな響がなかったが、旧町内の部ではの復旧が遅れたという。

その翌

田が。

へ来た。

豆腐を丁買ったあと。

清吉へ。

笑いながら。

言った。

「昨、あの井戸使ったぞ」

清吉のが止まった。

、ちゃんとたよ。昔みたいに勢じゃないけど、所の連が桶持って集まった」

が静かになった。

田は続けた。

「残しといてよかったな」

清吉はしばらく何も言わなかった。

やがて。

「そうか」

とだけ答えた。

そのの閉

清吉は。

古い町まで。

歩いていった。

れて父のをついていった。しいには灯がち、以なら暗く狭かった所が見違えるほど広くなっている。清吉は央ではなく端をゆっくり歩き、ときどきを見ながら、昔どのがあった所なのか確かめているようだった。

「ここが田さんのだったな」

し向こうじゃない?」

「いや、この辺だ」

そんな話をしながら歩き、やがては井戸のへ着いた。

清吉は柵へをかけ、しばらくを覗いた。面にはしい灯のが揺れており、昔の裏庭にあったとはまるで違う井戸に見えた。

「変なもんだな」

清吉が言った。

「何が?」

「うちの井戸だったのに、もううちのものじゃない」

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し考えてから答えた。

「最初から、半分くらい町のものだったんじゃない?」

清吉は息子を見る。

「帳面見たら、そうったよ。父さんたちが誰でも使わせてたんだから」

清吉は苦笑した。

気になったな」

「父さんの息子だから」

は井戸の横へ座った。

清吉は。

ようやく。

空襲の夜のことを。

自分から。

話した。

親子を助けられなかったこと。へ戻ってをかけ続けたこと。朝になって自分のだけが残っているのを見た、嬉しいより先にろめたさをじたこと。

「だから、が残ったって何度も言ってたの?」

が尋ねると、清吉はゆっくり頷いた。

「残したことを、正しかったといたかったんだろうな」

戦争が終わっても。

の。

戦争までは。

すぐには。

終わらない。

何を。

選んだか。

誰を。

助けられなかったか。

なぜ。

自分だけ。

残ったのか。

清吉は。

3

それを。

抱えていた。

しかし、を壊してができたことで、清吉は初めて別の見方ができたという。

「あのなら、たちは逃げられたかもしれん」

「うん」

「なら、壊したもある」

は黙って頷いた。

昔を。

残すことと。

昔の形を。

そのまま。

残すことは。

同じではない。

を壊したから。

しいが。

できた。

井戸を残したから。

昔の記憶も。

つながった。

そのつは。

矛盾しない。

帰り、清吉は「しいも悪くない」

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と初めて素直に言った。

は笑った。

「今さら?」

「客がいのはいい」

「売だけではできないんじゃなかった?」

昔の論を持ちすと、清吉はむっとした顔をした。

「売だけじゃないと言ったんだ」

「同じだよ」

「違う」

は言いいながらしいへ戻った。

ハルが戸で待っていた。

「ずいぶん遅かったね」

清吉は靴を脱ぎながら言った。

「井戸を見てきた」

ハルはそれだけで分かったようだった。

「そうかい」

「ちゃんとてた」

「当たりだよ」

「何が当たりだ」

またが言いう。

はその声を聞きながら、しいの柱を見た。

焦げ跡の残った。

古い

その隣には。

しい材。

どちらも。

同じ根を。

支えていた。

それからが経ち、しいはすっかり町の常になった。駅にはが増え、荷だけでなく自しずつ通るようになり、以の細いなくなっていった。相沢豆腐も商売を続け、信となってを切り盛りするようになった。

清吉は相変わらず毎朝く起きたが、以ほどのやり方へさなくなった。信しい商品を増やしても、最初に言文句を言ったあと、売れれば何も言わない。ハルは「それがあのなりの賛成なんだよ」と笑っていた。

ある、信は配達の帰りに古い町を通った。

井戸は。

まだ。

そこにあった。

柵は度。

造り直され。

横の板も。

しくなっていた。

だが。

縁には。

昔の傷が。

残っている。

ち止まっていると、幼い男の子が母親にを引かれて歩いてきた。

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