1995年、志摩半島の小さな漁村で、村一番の腕を持つ5人の海女が海へ出た。 向かった先は、10年に1度だけ秘密の通路が開くと語られる海底洞窟「龍神窟」。そこには、1つで1年分の収入になるという“大アワビ”が眠っていると言われていた。 しかし、その日を最後に、5人は帰らなかった。 突然の嵐による海難事故。村も警察もそう結論づけ、事件は静かに忘れられていく。だが、母を失った少女・美咲だけは、20年間ずっと疑問を抱き続けていた。 本当に、あれはただの事故だったのか。 2015年、海洋ドキュメンタリーのディレクターとなった美咲は、母の失踪の真相を追うため故郷へ戻る。だが、村人たちは口を閉ざし、漁業組合長は調査をやめるよう警告する。 やがて美咲は、20年前の海に隠された密輸船の存在と、母たちが見てしまった“あるもの”へとたどり着く。 そして海底洞窟の奥で見つかったのは、5人の遺骨と、母が最後まで握りしめていた約束の貝殻だった――。