"毎週木曜、つながらない番号へ" 第11話
交換として別の回線へ注を戻した。
数分、距話の終をらせるランプが点いた。美代子は接続票に刻をき込み、通話を記録した。
2分48秒。
昔と同じように、3分に満たない話だった。
勤務を終えた美代子は、志津と緒に駅を通った。はすでに止んでいたが、赤話のボックスの根にはいが積もっていた。
午840分を過ぎている。
いつもなら、そこに澄がっていた。
財布から貨をし、もう誰もないと分かっている番を頼んでいた。
けれど、その夜は誰もいなかった。
「もう、来ないんだね」
志津が呟いた。
美代子は赤話を見ながら頷いた。
翌の、千鶴は療養所を退院した。
以の記憶が完全に戻ったわけではなく、い文章をくと痛がすることもあった。それでも族の顔はすべていし、兄や弟の名も、寄宿舎で緒だった友たちのこともしずつ話せるようになった。
へ戻ることはなかった。
千鶴は桐の農協で帳簿をつける仕事を始めた。
数字を扱うのが好きだったことも、やがていしたという。
数、楢沢町の話局にも自交換設備が入り始めた。交換が件ずつコードを差して回線を結ぶ仕事はしずつ減り、昔の接続票も保期を過ぎたものから処分されていった。
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番の番号も、いつしか別の加入者に割り当てられた。
それでも美代子は、曜の午840分になると々あの赤話をいした。
半、度もつながらなかった番号。
話局から見れば、ただ廃止されたつの回線にすぎなかった。
けれど森田澄にとって、その番号は娘が最に声を届けてきた所だった。
だから彼女は毎週呼び続けた。
つながらないと分かっていても、同じ曜、同じに。
その繰り返しを議にったの交換が古い記録をき、そこに残された分らずの通話へ目を留めた。
もし澄が途で諦めていたら。
もし志津が最の声を忘れていたら。
もし夜勤表が焼かれていたら。
もし枚の接続票が完全に捨てられていたら。
森田千鶴は、そのも「寄りのない森千代」としての療養所で暮らしていたかもしれない。
話は、の声をくへ届けるために作られたものだった。
けれどあの半、誰にもつながらなかった番がつないでいたのは、声ではなかった。
娘を待ち続けた母親の記憶と、消されかけたの女のだった。
昭341217。
曜、午840分。
駅の赤話は、半ぶりに度も鳴らなかった。
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