"古道具屋の制服" 第6話
壁面の本棚、きな窓の向こうには樽の港が望できる部である。 武田はが像していたよりもずっと若々しく、柔な物腰の男だった。 質なスーツを着こなし、洗練されたオーデコロンのりを微かに漂わせている。 その隙のない佇まいは、叩きげの刑事であるとは対極の世界にむのそれだった。
「刑事、わざわざご労をいただき恐縮です」
武田は作り物めいた完璧な笑顔を浮かべて、を革張りのソファに促した。 その目は笑っているのに、全くが読み取れない。 まるで分いガラスの向こう側からこちらを見ているかのようだ。
「佐藤み咲さんの件で伺いました」
は単刀直入に切りした。
「彼女の遺品から、先との“秘密”を示唆するが見つかりました。15、彼女とのに何があったのかお聞かせ願えますか?」
の鋭い線を正面から受け止めても、武田の表は切揺るがなかった。 彼はゆっくりと頷き、まるで用していたかのように淀みなく語り始めた。
「ええ、み咲さんのことは今でも鮮に覚えています。非常に受性がく、繊細な徒でした」
彼は、み咲が庭内のコミュニケーションや友関係の構築に悩んでいたと語った。 特に仕事で忙な父親とのに、埋められない溝があったこと。
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だからこそ、自分にだけはをいて相談してくれたのだと。 彼の言葉は論理で、教育者としてのい洞察に満ちているように聞こえた。
「にあった秘密とは、彼女が私にだけ打ちけてくれた、そうした悩み事のことでしょう。教師として徒のプライバシーを守るのは当然の義務です。な期の彼女には、それが『2だけの秘密』と映ったのかもしれません。教育指導の環ですよ。それ以でも、それ以でもありません」
あまりにも完璧な説。の打ち所がない模範解答だった。 しかしには、その完璧さこそが、巧みに塗り固められた嘘の壁のようにえた。
「先は今、この町の観再発プロジェクトにもく関わっておられるとか」
は話題をガラリと変えた。 武田の目が初めて、わずかに細められる。
「まあ、メンバーの1として、ささやかながらお伝いを。この町の未来のためですから」
言葉とは裏腹に、彼の声にはい自負が滲んでいた。 武田の妻の実は、古くから樽の港湾事業を牛ってきた名だった。 町の利権をかす族。 個の失踪事件が、ゆっくりとその町のとが交錯するきな構図へと繋がり始める。 武田は自分の社会を誇示することで、「回の教師ではない」という事実を暗に示し、捜査に釘を刺そうとしているのだ。
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警察署に戻ったを、案の定、署からの呼びしが待っていた。 嫌そうな顔の司は、机を指で叩きながら言った。
「、教育委員会の武田先から連絡があったぞ。警察の捜査協力はおしまないが、個の名誉や関係者のプライバシーに配慮した、穏当な捜査をお願いしたいと……丁寧なご忠告だ」
それは紛れもない圧力だった。 武田という男は、たった数の接触で警察組織の層部をかせる力を持っている。 この事件がもはや単なる女子の失踪ではないこと、は肌でじていた。 背筋がゾクリとたくなる。
武田は本当にただの相談相だったのか。 それとも彼の権力という仮面の裏に、おぞましい真実が隠されているのか。 は武田を容疑者リストのに置いた。 しかし同に、彼のがこの事件の真相を覆い隠す巨な煙幕である能性もじていた。
被害者とされたみ咲、いじめていたとされる同級、秘密の関係にあったとされる教師。 に描かれた構図があまりにも単純すぎる。 まるで誰かが描いた脚本のようだ。 はこの町の根いの入りにっていることを確信した。 たとえ警察内部で孤しようとも、この分い権力の壁を突き崩さなければ、15に消えた女の魂は救われない。
彼は固く拳を握りしめ、窓のに広がるの空を睨みつけた。
15目の懺悔
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