"森で消えた夫の声" 第3話
普段はほとんど使っていなかったが、夫のために投稿文を考えた。
フォロワーは10程度だった。
それでも投稿は次々と拡散され、やがて2万以に広がった。
登アプリの履歴を確認した方がいい。
携帯話の位置報を調べてほしい。
救助犬を扱う団体に連絡してみてはどうか。
捜索に協力したい。
くの返信が届いた。
奥さんは分からないことだらけの、必に問いわせを始めた。
同じ頃、警察は捜索隊を結成し、国見岳周辺の登を捜索していた。
JさんとSさんもTwitterにTさんの報を投稿し、報提供を呼びかけた。
その呼びかけを見た岳関係者、トレイルランナー、クライマー、救助ボランティアたちがき始めた。
方、Tさんは811の朝7過ぎに発の準備をした。
夜はほとんど眠れなかったが、沢沿いにれば麓へられるとまだ信じていた。
登に見た図をいし、へめばよいのではないかと考えた。朝の方向を頼りに、おおよその方角を推測した。
しかし、その判断も登とは別の方向へむものだった。
滑落したに荷物の部をなくしており、そのにはわずかな料も入っていた。残されたべ物はほとんどない。
幸い、を入れる容器はあった。
Tさんは沢でを汲み、それをみながらんだ。
携帯話で奥さんに位置報を送ろうとしたが、波は入らなかった。
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池が減ることを恐れ、Tさんは携帯話の使用を控えることにした。
そのも没まで歩き続けた。
しかし、できる気配はなかった。
Tさんはまた岩のくで夜をかした。
812、朝530分頃。
体の痛みでほとんど眠れなかったTさんは、い体を起こした。
このも沢をった。
だが、どれだけんでも景は変わらない。沢はいつまでも続いていた。
違を覚えたTさんは、沢をることをやめた。
このままでは登には着かない。
そう判断し、今度は斜面を登ることにした。
急な斜面を、10分歩いて10分休む。その繰り返しだった。
しかし沢かられたことで、の確保ができなくなった。
気はよく、体は汗ばんでいた。喉の渇きがくなる。
辺りを探すと、夜のが切り株に溜まっていた。はし濁っていたが、Tさんは迷わずをつけた。
葉についた滴も集めてんだ。
体力は確実に落ちていた。
に力が入らず、急斜面で何度も滑った。
それでもTさんは諦めずに登り続けた。
が暮れる頃、またそのでビバークすることになった。
族の顔が浮かんだ。
奥さん。
子ども。
緒に来てくれたJさんとSさん。
疲労は限界にづいていた。
Tさんは面に横たわり、朝を待った。
813。
Tさんは朝、体を起こすと再びを登り始めた。
その途で、ついに携帯話の池が切れた。
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部とつながる段はなくなった。
しばらくすると、空からヘリコプターの音が聞こえた。
Tさんは顔をげ、声を張りげた。
の枝を振り、必に図を送った。
しかしヘリはTさんに気づかず、そのままざかっていった。
その、体調も悪くなり始めていた。
にんだ濁ったの響なのか、吐き気があった。だが、分を補しなければ歩けない。
Tさんはそれでも坂を登り続けた。
夕方5頃。
ようやく、が備したようなにた。
目のには古びた標識があった。
久しぶりに見た、自然以のものだった。
Tさんは希望をじた。
このをめば、のいる所にられるかもしれない。
途でが流れている所も見つけた。限界まで渇いていた喉に、を流し込んだ。容器にもを詰めた。
その、1830分頃まで歩き続けた。
辺りが暗くなり、疲労も頂点に達していたため、林で休むことにした。
だが、休んでいても眠れない。
の音のようなものが聞こえる。
誰かがくにいる気がする。
それが現実なのか聴なのか、Tさんには分からなかった。
814、午530分。
ほとんど眠れないまま朝を迎えたTさんは、また歩き始めた。
体はふらつき、目のには覚が見え始めていた。
くにコテージが見えた。
助かったといづくと、そこには何もなかった。
次にガードレールが見えた。
駆け寄ってみても、それもしなかった。
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