"森で消えた夫の声" 第4話
もう何を信じればいいのか分からなくなった。
没がづき、暗くなってきた頃、Tさんの目のにうずくまったの姿が見えた。
気だった。
それでもTさん自も限界だったため、声をかけようとづいた。
「丈夫ですか」
相はかなかった。
もう度声をかけると、その姿は急にどこかへ消えた。
覚は、どんどん現実のようになっていた。
Tさんはしばらく歩いたが、体力はついに限界に達した。
そのに倒れ込むように横たわり、けなくなった。
夜になっても、端に横たわったままだった。
遭難してからまともに眠れていなかったTさんは、そこでようやくく眠った。
815。
Tさんは夜にし眠れたものの、体調は回復していなかった。
それでも歩くしかなかった。
昨見た覚のせいで、自分が歩いている林も、本当にするのか分からなくなっていた。
しばらくむと、砂崩れが起きている所にたどり着いた。迂回するために、Tさんは急斜面を登った。
その先で尾根付のような所にたが、景に見覚えはまったくなかった。
自分がどこにいるのか分からない。
それでも族の顔をい浮かべ、再び林方面へっていった。
午になる頃、がり始めた。
Tさんは、もしもののために遺のようなものを残そうと考えた。
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さなをきなにこすりつけ、奥さんと子どもたちへ向けたメッセージをこうとした。
その、Tさんはく悔していた。
に登ったことだけを悔していたのではなかった。
もし、自分がぬのだとしたら、族にもっとしてあげられたことがあったのではないか。
仕事に対しても、友に対しても、もっとできることがあったのではないか。
そんないが次々と浮かんできた。
ヘリの音が聞こえるたびに、Tさんは声をげ、の枝を振った。
しかし気づいてもらえない。
没がづく頃、あまりにも吉な覚を見たTさんは、ついに自分にも迎えが来たのかとった。
歩くことはもう困難だった。
Tさんはけた所を探し、そこに倒れ込むように横たわった。
もう自分で歩いてする体力はない。
ヘリに見つけてもらうしかない。
そう考えた。
方、奥さんは々、警察から捜索状況の報告を受けていた。
しかし、なかなか発見には至らない。
はきくなるばかりだった。
それでも奥さんは諦めなかった。
警察や消防、ボランティアの捜索エリアを聞き、捜索済みの所を図にき込んでTwitterで共した。
その図は、捜索に関わるたちの助けになった。
「お父さんはどこにったの」
子どもにそう聞かれるたびに、奥さんは泣きそうになった。
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それでも子どものでは気丈に振るった。
Tさんはきている。
そう信じて待ち続けた。
しかしその夜、警察から話が入った。
捜索始から72が経過したため、救助隊による捜索は打ち切られるという内容だった。
奥さんは絶望しかけた。
それでも、諦めなかった。
料でも何でも構わない。
捜索してくれる団体を探した。
災害救助支援ボランティアのメンバーたちは、Twitterで報を共しながら、それぞれの所でTさんを探し続けた。
国見岳頂付にベースを作るもいた。
ロープを使わなければめない急斜面や、やがい茂る登ではない所にも入っていった。
奥さんは送られてくる報をまとめ続けた。
その1つ1つが、Tさんへづくための線になっていった。
816。
Tさんの体力は、ほとんど残っていなかった。
ちがることも、を振ることも難しい。
彼は最の力を振り絞り、着ていたTシャツをの枝に引っかけた。
ヘリコプターから見える目印にするためだった。
枝をけた所にてかけると、Tさんは再び横たわった。
もうきる気力も消えかけていた。
の声の聴も聞こえてくる。
どこまでが現実で、どこからがなのか分からない。
その、くから声が聞こえた。
「くな!」
「叫べ!」
Tさんは最初、また聴だとった。
けれど、その声には鋭さがあった。
張りがあった。
ぼんやりした聴とは違う。
確かにの声だった。
Tさんは残った力を振り絞って叫んだ。
「おーい!」
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