昭和57年、岡山県美作地方の小さな農村に、若い女性教師・松本美子が赴任してきた。 都会から来たばかりの彼女は、慣れない村の暮らしに戸惑いながらも、子どもたちに真っ直ぐ向き合い、少しずつ教室に居場所を見つけていく。 しかし、村は思っていたほど穏やかな場所ではなかった。 先輩教師の嫉妬、教頭からの不自然な呼び出し、贈り物を断られた保護者の怒り、下宿先での小さな金銭問題。美子の周囲には、静かな違和感が積み重なっていた。 そして昭和57年10月12日。 美子はいつも通り学校へ向かったまま、忽然と姿を消す。 荷物は下宿に残されたまま。日記には「明日も笑顔で学校に行く」と書かれていた。だが警察は、やがて彼女の失踪を“自ら姿を消した可能性”として扱い始める。 それから8年。 大人になった教え子たちが同窓会で語り出した、あの日の記憶。 校長室から聞こえた泣き声。 松林で見た先生の姿。 そして、夕暮れの中で土を掘っていた誰かの背中。 子どもたちの小さな証言が、8年間沈黙していた村の真実を掘り起こしていく――。